広島県のライター奈須礼子です。今回は東広島市にある真言宗福城寺をご紹介します。このお寺は国の重要文化財に指定を受けています。さて、どんなお寺なのでしょう?貴重な町並み、360°のバーチャル体験で観光してみましょう。
福成寺は、西条盆地を見下ろすことができる標高約500mの、山頂の近くに建っています。奈良時代に建てられたと伝えられています。平安時代末期には、源平の戦いの舞台になったともいわれています。室町時代には周防国(山口県)の守護大名大内氏の宗教的拠点として栄えたともいわれています。古くから地域を見守り続ける、真言宗の歴史ある寺院です。
本堂内の厨子と須弥壇は15世紀に造られ、国の重要文化財に指定されており、色鮮やかで壮麗です。鏡山城を築いた山口の大内氏が寄進したと考えられており、この他に後醍醐天皇や毛利輝元などの書状なども伝わっています。境内には樹齢数百年と推定される高さ約40mの夫婦杉をはじめ、モッコク、トチノキなどの巨樹があり、県の天然記念物に指定されています。特に賑わう時期は4月下旬から5月上旬です。石楠花(しゃくなげ)が約60種類・1,800本の植樹されており、色とりどりのしゃくなげが、4月下旬から5月上旬に咲きそろい、記念植樹(有料)も行われます。
福成寺は本堂までに池があります。そこに屋根の付いた掛け橋があるのですが、この“屋根付き橋”が珍しいそうで、全国から観光客が訪れています。橋は途中から右側に分岐しており、分岐先の小島には弁天社が祀られています。
境内の建物はすべて赤瓦で葺かれる石州瓦。「凍てに強い」として有名で、良い土と高温で作る瓦は、雨・風・水・凍てに強いとされます。西条は盆地なので、寒さや霜に強い赤瓦に、白壁の家が多く見られるんですね。これは、明治時代末から昭和初期にかけて茅葺や藁葺であった多くの民家や農家が、赤瓦葺の屋根に建て替えてからの景観で、赤瓦屋根をもつ民家は同時に居蔵造りも建築されています。
『芸藩通志』によると、「この地方に多く油石を製するなり」と記載されています。丈夫な釉土石が生産されていたようです。
福成寺の春は賑やかです。2012年からは4月29日(祝)に「花まつり」が行われています。これは「花咲かそう会」が主催するお祭りで、和太鼓、三味線、オカリナなど音楽と花見の祭典。花の満開時期に合わせてあるので、4月になってからの問い合わせ(福成寺 082-426-0523)が確実です。例年の見頃は、4月25日~5月5日ぐらいまで。ゴールデンウイークに日帰りで楽しめるスポットです。
【基本情報】
名称:福成寺
住所:広島県 東広島市 西条町 下三永3641
駐車場:無料